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不換紙幣−建国当初の惨禍−

裏付けのない通貨を大量に発行すると、インフレになる。
アメリカの建国当初、独立戦争のもたらした影響は、忘れられない記憶を残した。
 
 
戦争が財力でまかなわれることはほとんどないし、増税で戦費が調達されることもまずない。
ところが、通貨供給量を増やせば(紙幣を印刷すれば)、真のコストは見えなくなる。
独立戦争の財源を捻出するため、中央政府も13の各州も印刷機を回し続けた。
 
戦争が始まった1775年、通貨供給量は1200万ドルだった。
1779年までには、総計4億2500万ドルが加わった。
 
このマネーの洪水は、すぐにインフレを呼び起こす。
1779年、靴一足が5000ドル、スーツ1着は100万ドルになっていた。
 
不換紙幣は政府が課税なしに購買力を手に入れる手段だ。この購買力は、納税者の
購買力をその分だけ低下させることで生じている。
購買力の低下、すなわち、インフレである。
 
物価の上昇した植民地は、賃金物価の統制法を制定したが、失敗した。
法貨を守らせる法律が次々とできた。ロードアイランド州では紙幣の受け取りを拒否する者には
重い罰金を科し、再犯者は市民権を剥奪した。裁判所がこの処分を違憲と判断すると、議会は
判事を呼び出して罷免した。
 
独立戦争の後、市場はインフレから現実に戻った。今度はデフレの発生である。
経済は混乱し、暴動が相次いだ。
この不換紙幣の惨禍を反省し、連法議員たちは不換紙幣の発行に断固として終止符を打った。
だが、同時に不換紙幣と中央銀行をめぐる暗闘がはじまることになる。
 
金融史からみた独立戦争 その1 へつづく

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